MY HOME,SWEET HOME






「んー…っ!リックス(ここ)も変わんねぇなぁ」
幼い頃によく来た秘密の丘で、気持ちよく精一杯背伸びをして俺は呟いた。

「?いいじゃねぇか別に」

隣に居るファリスは俺の呟きに訝しげな顔をしていたが、視線を逸らして少し小さめの声で続けた。




「…俺はリックス(ここ)の雰囲気嫌いじゃないぜ」




そう言った彼女の表情はそっぽを向いているので判らないが、耳が真っ赤になっているのが見えた。
ファリスの「嫌いじゃない」は「大好き」という意味だ。
そんな素直じゃない彼女が愛おしくて、気付かれないようにそっと笑う。


「いや…なんか故郷は変わらないけど、俺は変わったかな…と思って」
「バッツが?」
ファリスは小馬鹿にしたように言う。

「変わってねぇよ」
「変わったよ」
余裕たっぷりに微笑む俺の態度が気に食わないのか、ファリスは不機嫌そうな顔をする。

「どこが変わったんだよ」
「んー…『故郷』が二つになった」
「あ?」


「リックス(ここ)と」













「ファリス(ここ)」













自分には文才がないことを改めて実感できた良い機会でした。